
バザーで資金集め、温泉旅行を実現
活動の概要
桂徳児童館には高学年クラブ「フレンドリースペース」という取組があります。やりたいことを話し合い、どのようにできるか考え、実行するとりくみです。月1回の定例会を基本とし、その他活動は自主性にまかせています。
今年度は小4男子4人の登録があり、初回の5月、おでかけをしたいという意見で一致。それに対して本プログラムを職員から紹介しました。6月の話し合いで助成金を基に手作りバザーでお金を稼ぐ方針が決まり、9月の児童館15周年まつりに向け準備を進めました。
なかまも増やし、無事に利益を出しました。有馬温泉と宝塚温泉のどちらに行くか悩んでいる最中に部員が出身保育園でのバザー出店を提案。12月の当日に向けて新たな手作りバザーを準備し、結果、どちらの温泉にも行く1泊2日旅行を決行できる資金を集めました。5人が旅する姿はとても感動的でした。
ここがポイント
こどもたちの当初の夢は別府や下呂、熱海といった遠くの温泉地に行くことでした。それを尊重しつつ、実際にお金を稼ぐプロセスを通して、現実的な落としどころをこどもと一緒に探りました。落としどころを見つけるために行先(温泉)と宿泊先(ユースホステル)を分ける提案は職員からしました。
12月のバザー出店は、完全にこども主導となり、こどもたちから園長先生に許可をもらってきた、という話を受けてあらためて児童館と保育園で打ち合わせをすすめました。
活動を通して得られた効果・変化など
こどもたちは同じ小学校に通っており館外でも集まっていました。定例会欠席の際は自分の意見を前もって伝えてくれることもありました。バザーでは大人の手を借りたくないからと自分たちの休憩時間も返上してシフトを組んでいました。お店に募金箱まで設置し、実際、彼らの頑張りを見てお金を入れてくださる方もいました。
2回目のバザーに向けての動きは、とてもスムーズでした。館外でのバザー出店から旅行にかけて、保護者のみなさまとも細やかな連携をとる機会になりました。コロナで卒園遠足等がなくなった世代だから、と想いを教えてくださりもしました。旅行中の彼らは、楽しい時も疲れた時もいつも通りの姿で、児童館での姿が素なのだと教えてくれました。
こどもの感想
・お金をためるところから、いろいろ作ったり、かせいだりしてさいごに旅行に行けて苦労が実ってよかったと思う。
・お金をかせぐために、バザーをして、有馬、宝塚(廃線敷)には行けたが、児童館全体での旅行は行けなかったので、今年は行きたい。
・お金をためるためにバザーで自分の持ち物を売ったりして有馬や宝塚の廃線約4.7kmを2時間で登ったりして楽しかった。
・相手が喜ぶ物を考えて、バザーで売ることにやりがいを感じた。仲間と旅行へ行く計画を立て、実行する力がついた。
・最初に立てた目標どおり旅行に行けてうれしかった。
職員の気づき
主体性のあらわれ方はひとりひとり違うと気づきました。こども同士が認め合っていることは職員も許すことが大事だと思いました。
一方で、彼ら自身が議論を積み重ねるためのサポートはうまくいかず、定例会のとりまとめは職員の仕事でした。また、成功体験が必要と判断し、9月のおまつりで制作物を提案したり、行先決めの段階でこども同士の発言力に不均衡を感じ、片方の温泉地にハイキングという付加価値をつけたりと職員が演出することもありました。
悩みながらの担当でしたが、旅行中に「先生は僕らのやりたいことに付いてきてくれているだけ」というこどもの会話を聞き、救われました。
- プログラム名:桂徳 日本めぐり隊 ~学校を忘れてどこまでも行こう~
- 実施施設:京都市桂徳児童館~京都府京都市~