子どもたちが安心して過ごせる児童館へ、「3密」を避け再開
目次
全国の児童館を支援する児童健全育成推進財団では、福岡市立中央児童会館「あいくる」(以下、あいくる)と、沖縄県うるま市みどり町児童センターへオンライン視察を行いました。
これは児童館職員を対象にほぼ毎月実施している学習会で、これまで都内の児童館を中心に訪問し、各館の情報共有や人材交流の機会を提供してきました。
新型コロナウイルス感染症の影響により、今年は4月からオンラインでの開催となりましたが、全国各地から職員が参加し、最新事例を学ぶ場として活用されています。今回は、7月に実施したオンライン視察の様子をご紹介します。
コロナ対策の中でも、親しみやすい雰囲気づくりを
▲ビルの中にある都会的な児童会館「あいくる」
あいくるは、人口160万人を超える福岡市唯一の児童館です。九州最大の繁華街天神エリアのど真ん中に位置し、2016年にはビル全体が大人も子どもも楽しめる体験型複合施設としてリニューアルされました。あいくるは、ビルの5階から7階及び屋上部分となっており、乳幼児親子が利用できる「子どもプラザ」や乳幼児の一時預かり室、また交流スペースや音楽室、工芸室などがあり、屋上には広場もある施設です。
あいくるでは現在、受付で必ず手指のアルコール消毒・マスク着用をお願いしており、マスクを持っていない子どもには、職員がキッチンペーパーでつくったマスクを配布しています。子どもでもつくれるよう、マスクのつくり方も案内しています。受付の窓口は透明シートで仕切っていますが、職員が手づくりした飾りを付けて、子どもたちが親しみやすい雰囲気づくりに取り組んでいます。
消毒に換気、制限のある中での試行錯誤
▲受付では、職員が手づくりマスクを用意
施設全体としては、1日に5回消毒を行い、1時間ごとに窓を開けて換気をしています。音楽室及び多目的ルームは、窓が無く換気が難しいため使用禁止にしています。ボルダリングや跳び箱、ボールプールなどもありますが、シェアする大型の遊具は消毒対応も難しいため使用禁止にしています。ただし卓球台は時間貸しをし、合間に消毒対応もしています。
貸し出しする物も、ボードゲームは2人でできるゲームに絞り、図書コーナーの本は、本棚に戻さず必ず回収ボックスに入れてもらうようにしています。あいくるの図書コーナーには5,000冊もの本があり、貸し出しも行われています。季節にそった本をスタッフのオススメとして陳列するなど、レイアウトにも工夫が施されています。
赤ちゃんから高校生まで、安心して過ごせる場所に
▲全国的にも珍しい、乳幼児の一時預かりサービスも
「子どもプラザ」では、おもちゃの貸し出しも厳選して減らし、利用方法は前日までに予約、人数は20組に制限しています。乳幼児の一時預かりも事前登録制で受け入れており、対象は生後満6か月から小学校就学前の乳幼児とし、1時間あたりの利用料金は3歳未満が600円、3歳以上が500円、午前9時~午後6時の間に利用可能です。全国的に見ても珍しい、児童館機能と一時預かりサービス機能を合わせた施設です。
学習スペースでは、視察当日に高校3年生の男の子がお友だちと来館していました。「コロナでどこにも行けないし家では集中できないので、ここで友だちと一緒に勉強しています」と話してくれました。このように、制限はあっても赤ちゃんから高校生、ママ・パパまで、幅広い世代に利用いただいているようです。
子どもたちも元気いっぱい!外遊びが盛んな児童館
▲子どもたちに寄りそう、地域密着の児童館
沖縄県うるま市は人口約12万人、市内には児童館が6か所あります。うるま市みどり町児童センターは、緑豊かな公園が隣接しているため、子どもたちは遊具で遊んだり虫を見つけてかけまわったり屋外でも遊べる環境が整っています。館内には、遊戯室や図書室、体育室があり、子どもたちは普段ピアノを弾いたり本を読んだり、ボール遊びをしたり思い思いの時間を過ごしています。
館内の消毒は床まで、換気も十分に
▲オンライン視察では、子どもたちがリポーターとなって児童館を案内
受付では、入館前に必ず手指のアルコール消毒や検温を行っています。館内の各所には、いたるところに扇風機を置いて換気にも配慮しています。開館前には、館内のテーブルやイス、床まで消毒を行っています。また、現在、レゴなど消毒が難しいサイズの細かいおもちゃの貸し出しはしないなど、一定の制限を設けています。
コロナに加え、熱中症対策も
▲児童館には公園が隣接しており、思いきり外遊びできる
7月の沖縄は、全国に先駆けて梅雨明けしたため、夏真っ盛り。ただ、館内ではエアコンが設置してある場所が限られており、エアコンのない部屋では子どもたちのマスク着用もなかなか難しい状況のようです。
熱中症予防のため、子どもたちには水筒持参も呼びかけ、運動している子には30分に一回水分補給をするよう促しています。ただ、子どもたちはコロナも夏の暑さにも負けていません。公園でセミとりをするなど、盛んに外で遊んでいるようです。
また、児童センターでは子ども食堂を運営しており、毎週土曜日昼、長期休みでは日曜祝日をのぞいて毎日運営しています。地域の方にもご協力いただきながら食事やおやつ提供も行っているそうです。子どもたち一人ひとりに寄り添い、きめ細やかな支援をしています。
オンライン視察を通じ、制限がある中で児童館をどのように運営し安心安全な居場所づくりに取り組むか、児童館職員が工夫を凝らしながら開館していることがわかりました。子どもたちや保護者のみなさまにも、家でも学校でもない第三の居場所&として、ぜひお近くの児童館をご利用いただけたらと思います。
※本記事は、2020年7月22日時点の情報です。沖縄県は8月1日より独自の緊急事態宣言を発出しており、8月29日まで期間を延長しています。県内の児童館の開館状況も随時変化することが想定されますので、ご利用される際は各児童館までお問い合わせください。