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識者・応援団からのメッセージ

鈴木のりたけ さんからのメッセージ

親が楽しんで読むから子どもも楽しい!
親子で一緒に楽しめる絵本を作る

 

鈴木のりたけ

鈴木のりたけさん

1975 年静岡県浜松市生まれ。グラフィックデザイナーを経て絵本作家となる。『ぼくのトイレ』(PHP 研究所)で第17 回日本絵本賞読者賞、『しごとば 東京スカイツリー』(ブロンズ新社)で第62 回小学館児童出版文化賞受賞。ほか主な著書に「しごとば」シリーズ(ブロンズ新社)、『ぼくのおふろ』 『ぼくのふとん』(PHP研究所)、『おしりをしりたい』『おつかいくん』(小学館)、 『かわ』(幻冬舎)、『そだてば』(朝日新聞出版)などがある。「しごとば」シリーズでは、スケッチブックとカメラを手に、さまざまな仕事の現場に潜入取材。 独自の視点と遊び心あふれる手法で仕事を切り取った内容は、老若男女を問わず、好評を博している。千葉県在住。2 男1 女の父。







 

子どもに人気の職業を楽しい絵と文章で紹介する「しごとば」シリーズをはじめ、さまざまな絵本を制作している鈴木のりたけさん。ページの中に情報がびっしり描き込まれた独特の作風は、何度も読み返したくなる魅力にあふれ、子どもから大人まで多くのファンの心をつかんでいます。インタビューでは、鈴木さんが絵本作家になるきっかけや絵本に対する思いなど、貴重なお話を伺い ました。

 

「絵」を使って表現したい

 大学の社会学部を卒業後、鉄道会社に就職したんですが、「手触りのある仕事」がしたくて1年半で退職してしまいました。サブカルチャー系の雑誌を作るために自主的に取材をしていましたが、それは形にならず、広告のデザイン会社にグラフィックデザイナーとして就職しました。  

 絵を描くようになったのは、この頃からなんですよ。子どもの頃にマンガを描いたりはしていましたが、美術部に入ったこともなく、本格的に絵の勉強をした経験もありませんでした。それが、デザイン会社でクライアントに説明するためのラフ画を描いたとき、上司から「きみは絵がうまいから、本気で描いてみたらどうだ?」とすすめられて、独学で勉強するようになったんです。  

 1枚1枚描いていた絵を上司や広告代理店の人に見せると、「この絵で何を表現したいのかわからない。もっとコンセプトをしっかりしたほう がいい」とアドバイスされたので、連作の絵を描いてみて、さらに言葉をつけたら、絵本になっちゃった(笑)。 それから趣味で絵本を描くようになり、コンテストでの受賞をきっかけに絵本作家になりました。僕の絵本には、ストーリーがあるものもありますが、図鑑や探し絵のように、絵そのものを楽しむものが多いです。 「物語がなくても、その絵を見た人の心に残るような、絵が主役の絵本もあり得るな」と思ったんです。

 

仕事場は「人」を感じる場所

   「しごとば」シリーズ1作目は、グラフィックデザイナーのときに作った絵本です。グラフィックデザイナーって、机のまわりが散らかっている人が多いんですよ。仕事に使うものだけじゃなく、目薬だとかお菓子だとか、アニメのDVDなど趣味のものまでゴチャゴチャ置いている。 そこに人がいなくても、机を見ただけで「ここに座っているのはこういう人間だな」というのが想像できて、 すごく面白かったんです。仕事場は、職業によっても違いが現れるだろうから、「それを見てみたい、描きたい」と思い、1作目の『しごとば』 を作りました。

 最近では、「うちに来てください」 と立候補してくださる方もあるんですが、1冊目は取材先を探すところからすべて手探りでした。興味のある職業をインターネットで調べて電話して、「絵本を描きたいので取材させてほしい」と説明をして。何のツテもないですか ら、「何者なんだ? コイツは」というところから始まるわけです。取材に行って も、「コイツ、なんで こんなこと聞くんだ?」って怪しまれるし……(笑)。毎回ドキドキしていましたが、基本的には人に会って話をするのが好きなので、さほど苦にはなりませんでした。

 「しごとば」シリーズは5冊出していますが、そのなかで一番印象に残っているのは、2冊目の「とうふ職人」です。1 0畳くらいの広さの仕事場に、大豆を煮て、つぶして、固めて、切ってという、豆腐のできるまでの工程がひと目でわかるように、道具が配置されているんです。それがすごく美しくて、モノづくりの原点というか理想の仕事場のようで、 印象深かったですね。

 このシリーズは、自分の興味がある分野を突き詰めさせていただいているので、楽しいですし、ありがたい仕事です。仕事場ということで、 「物」から入って取材をしているんですが、最終的には「人」の香りを嗅ぎ取っているのでしょうね。職人さんが使いやすいように自分で調整した道具などを見つけると、うれしくて、ゾクゾクッとします。

 

(後略)


(情報誌「じどうかん」2014冬号より)

 


鈴木のりたけさんの著書「しごとば」 シリーズ⑤『もっと・しごとば』。

客室乗務員、花火師など9 つの仕事場について事細かに描き込まれた絵本は、見れば見るほど新たな発見が!(左側は鈴木のりたけさん直筆イラスト・サインです。)

しごとば

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