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識者・応援団からのメッセージ

尾木 直樹さんからのメッセージ

子育てと教育は、「愛」と「ロマン」。
「ほめて育てる」でハッピーに!

 

尾木 直樹(おぎ なおき)さん

1947年滋賀県生まれ。早稲田大学卒業後、海城高校、東京都公立中学校教師、東京大学講師として、22年間にわたりユニークで創造的な教育実践を展開。その成果は180冊を超える著作物や映画等にまとめられている。現在は、法政大学教授、早稲田大学大学院教育学研究科客員教授として教鞭を執るかたわら、メディア出演、執筆活動に幅広く活躍。また、主宰する臨床教育研究所「虹」では、子どもと教育、メディア問題等に関する現場に密着した調査・研究活動に精力的に取り組む。「ひるおび!」「教科書にのせたい!」(TBS系列)、「SUNDAY COWNTDOWN SHOW シューイチ」(日本テレビ系列)などのレギュラー番組では、「尾木ママ」(明石家さんまさん命名)の愛称で親しまれている。 近著に『尾木ママと考える大震災後を生きる希望のヒント』(共著)、『尾木ママの子どもの気持ちが「わかる」すごいコツ』など、多数。

 

 優しい語り口とキュートな笑顔が人気の“尾木ママ”こと、尾木直樹さん。今やメディアに引っ張りだこ。おねえキャラで親しまれる尾木ママですが、実は22年もの熱血教師時代の経験と日本の教育にズバリとメスを入れる教育評論家という顔をもつ、すごい先生なのです。今回は、尾木ママに、今の日本の教育現場の現状について、そして子育てに奮闘するパパ・ママたちへエールをいただきました。

 

「どうしたの?」は魔法の言葉

 まずは、次のような場面を思い浮かべてみてくださいね。いつも仲のいい敦子お姉ちゃんと弟の翔君。敦子お姉ちゃんが翔君をたたいて泣かせてしまったら、皆さんなら親として、どう対応しますか?
 「こら、たたいちゃだめじゃない」と、敦子ちゃんを叱る方がほとんどではないでしょうか。実は頭ごなしに「叱る」のはNGなんです。
 今のママ・パパ世代にも「叱る=しつけ」とか「子どものために厳しくするのは当たり前」という考えの方も多いかもしれません。でも、「自分たちは叱られて育ってきた。それは果たしてどうだったの?」って、自分の受けた教育やしつけを客観的に振り返ってみて。そして「ほめる」子育てにシフトしていきましょう。
 「翔君泣いているね。どうしたの?」と、まずは心穏やかに、敦子ちゃんに尋ねます。「こら!」から始めると、子どもは委縮して何も言えなくなったり、内心では反発しがち。でも、「どうしたの?」と尋ねる表現で語りかければ、子どもは心が軽くなり、自分の気持ちにまっすぐ向き合えるようになるんです。「どうしたの?」って魔法の言葉なんですね。
「あのね、翔君が机に上がろうとして、危ないからダメって足をたたいたの。そうしたら痛いって、泣いちゃったの」など、敦子お姉ちゃんはその場であったこと、自分がたたいた理由について素直に話し始めることでしょう。こんなふうに大人は気持ちをつかめます。「そうなんだ。危ないと思って、翔君に教えたんだね。辛かったね」と、弟を泣かせてしまった辛さを受け止めるのです。すると、心に元気がみなぎってきて「でも、たたかないでそっと教えてあげればよかった」と反省するのです。
 子どものしたことに100パーセント悪意なんかないんです。理由を聞いて、エンパワーできれば、子どもは自ら伸びていくんです。これが発達の心理、伸びる心なんです。
 「尾木ママの言うことはよくわかる。でもつい怒っちゃって」と言う方や、「抑えつけてペナルティを与えることで成功した」という考えの方もいらっしゃるかもしれませんね。
 でもね、「怒る↓こわいから従う」という関係性では、「こわい人がいるからやる/いないからやらない」というずるい子や、大人の顔色をうかがう子になってしまいます。自己決定力も自己肯定感も育ちません。
 教育は型にはめることでも、形を整え見映えよくつくることでもありません。心を育て、人格を育て、学力も育てる――これが原点です。赤ちゃんは生まれながらに生きていく力を持ち、人は成長する力を秘めた存在なのです。「現象をつかみ・辛さに共感し・成長する心をほめる」の3ステップを踏んだ「ほめる子育て」をすれば、子どもの自己肯定感が高まり、自ずと成長していくんです。

 


(情報誌「じどうかん」2012夏号より抜粋)


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