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識者・応援団からのメッセージ

村上 弘明さんからのメッセージ

「難有」と「有難う」の重み。
人は、困難に感謝して立ち向かう

 

村上 弘明(むらかみ ひろあき)さん

岩手県陸前高田市出身。文武両道、医師を目指した少年時代を経て、法政大学在学中、1979年 「仮面ライダースカイライダー」の主役としてデビュー。「必殺」シリーズの政役をはじめ、黒澤明生誕百年企画「悪い奴ほどよく眠る」や「銭形平次」、土曜ワイド劇場「新聞記者・鶴巻吾郎」シリーズなどに主演。NHK連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」といった、話題のテレビドラマ、映画、舞台にも多数出演している。奥さんは元モデルの田島都さんで、36歳のときに第4子を出産。高校生の長女を筆頭に2男2女の父でもある。夫婦で旅行を楽しむ愛妻家としても知られる。趣味・特技も、歴史、美術史、陶芸、クラシック、ジャズ、アウトドア、柔道、水泳、スキーと多彩。

 

 日本の社会福祉の先駆者、教誨師(きょうかいし)・留岡幸助を見事に演じきる村上弘明さん。幼い頃の家庭教育と愛情の大切さ、自然とともに生きるべき人間本来の姿を追求していきます。自然の厳しさ、恵み、共存。現代を生きる私たち人間に警鐘を鳴らしつつ、勇気を与えて くれる大作『大地の詩-留岡幸助物語-』。映画の魅力と児童館へのメッセージをお話いただきました。

人として生きるうえで一番大切なもの

 僕が演じた留岡幸助は実在した人物。撮影に入る前に、映画の舞台となる時代背景や関連資料を調べて役作りをしています。特に今回は、「家庭学校」というこれまでの日本にない施設をつくり、青少年を更生するために生涯を捧げた男の役。牧師から教誨師となった明治期の人物の生き様を描いた作品です。当然、聖書の勉強もして臨みました。
 「人は生まれながらにしてみな魂の値打ちは同じなんだ」という教えを説く、キリスト教・宣教師との出会いが、留岡少年の心をつき動かしていくんです。
 なぜ罪を犯してしまったのか。青少年だけではなく、大人もですが、一人ひとりと会って、どうしてそうなったのか、生い立ちに問題があるのではないか、どういった家庭環境にあったのかを調べていく。すると、その根っ子に、親の愛情を得られないまま育ってきた現実がある。ですから、愛情をもって接していれば、いつかその子は世の中に恩返しできる大人に育っていくだろう。そういった発想で、家庭のような学校がつくられていきます。
 留岡は入学する人がいなくなることを願っていました。しかし、実際に現在も学校は存在しています。僕も撮影の山場を明日に控えて訪れました。
 学校の中で印象的だったのが、礼拝堂に掲げられている標語です。昔の文字なので、右から横書きで「難有」と書いてある。振り向いて読むとそれは「有難う」なんです。
 困難に感謝しなさい―。人間はどこか困難を避けるというか、退いてしまうところがありますよね。何とか避けて通る術はないか考えてしまいがちです。真っ向から人間は困難に立ち向かっていくことができない。留岡ですらできないんです。だからこそ、「難有」という標語を掲げ、戒めている。僕自身も戒められたと思います。
 困難に遭うことによって、人は耐え忍び、いろいろな創意工夫をしながら、我慢を重ねて、徳がつく。それを乗り越えたときには自信もつく。人間が成長するうえで、困難は大きなチャンスです。
 教師役は何度か経験していますが、教育を超えて、人が人として生きるうえで、一番大事なもの、大切にしなければならないことは何なのかを考えさせられました。

教わる

  子どもたちとの触れ合いの中で、自分も教わる。自分も成長する。子どもも成長する。相乗作用なんですよね。それが本来一番いいかたちだと思います。教え教わるだけではなく、教師と児童・生徒の間もそうですが、子どもたちから自分も教わる。自分がもっているものをすべて提供することは当然ですが、子どもたちからも感化される。それぞれ、いろいろな家庭環境の子どもたちがいるわけですから、さまざまなことを教わる機会となる。
 教わるということは自分が吸収しようという意識がないと、身につくものではありません。常に受け皿になり、その態勢で子どもたちと接することが大切な気がします。
 「生徒を教えるのではなくて、生徒からも教わるんだ」という、留岡の言葉が震災後の今、さらに僕の心に響いています。

                            (情報誌「じどうかん」2011秋号より一部抜粋)


お知らせ

「大地の詩-留岡幸助物語-」の映画パンフレットに村上弘明さんのサインを入れて、抽選で1名の方にプレゼントいたします。

 締め切り:2011/12/7
 応募はこちらから。

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