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識者・応援団からのメッセージ

細谷 亮太 さんからのメッセージ

難病とたたかう子どもたちにも
輝かしい子ども時代を過ごしてほしい

 

細谷 亮太 (ほそや りょうた)さん

1948 年山形県生まれ。東北大学医学部卒業後、聖路加国際病院小児科に勤務。78 年から3年間、小児がんの先端的治療技術習得のため、テキサス大学総合がん研究所M.D. アンダーソンがんセンターにクリニカルフェローとして赴任。現在、聖路加国際病院特別顧問・小児総合医療センター長。専門は小児がん、小児のターミナルケア、育児学。難病とたたかう子どもたちと家族を対象にした「そらぷちキッズキャンプ」代表理事を務め、 俳人(俳号は喨々)としても活動している。著書に『おめでたを知ったあなたへの手紙』『川の見える病院から』『小児病棟の四季』『医者が泣くということ』 『きっと「大丈夫。」』など、多数。







 

優しくて、気さくで、あたたかい。 小児科のお医者さんのイメージぴったりの人柄がにじみ出ている細谷亮太さん。エッセイや育児書の文筆家としても活躍されています。今回は、楽しかった子ども時代のお話や 難病の子どもたちのためのキャンプ活動について、子どもと関わる大人に望むことなどを語っていただきま した。

 

自然の中で話をしよう

  僕は、小さな農村の開業医の家に生まれました。昭和 23 年生まれですから、子どもがいっぱいいてね。向こう三軒両隣に同学年がいたの。夏の間は裏の小川で魚獲りをして、あとは缶蹴り、馬跳び、鬼ごっこ、かくれんぼ、ターザンごっこ、ジャングルごっこ……。遊ばなきゃならないことがたくさんありました。暗くなるまで遊んで、夕飯の前に家に帰っていく。そういう時代でした。 山や川があって、緑がいっぱいある中で、みんなで遊んだり、喧嘩したりしながら子ども時代を送ることは、とても重要だと思います。

 今から 10 年以上前、「患者さんに病気のことをきちんと説明して、自分の病気を納得してもらったうえで治療を進めなければいけない」という考えがアメリカから広まり始めていました。これはアメリカのがんセンターから帰国した小児科医の僕の課題でもありました。病気について知らされている子どもが少なかった時代に、「病気のことを子どもたちと話し合おう」と、小児がん専門医の仲間たちとキャンプを始めたんです。 病気のようなつらい話をするには、人と人とのコミュニケーションがとりやすい自然の中が一番なんですね。

 清里、三浦海岸、阿蘇など、ジプシーキャンプふうにいろいろな所でキャンプを続けて5年くらい経ったころ、「病気の子どもの幸せをサポー トしたい」と考える公園づくりの専門家たちとのジョイントで、病気とたたかう子どもたちのために配慮さ れた常設のキャンプ場を豊かな自然 がある北海道滝川市につくるという話が出ました。これが、「そらぷち キッズキャンプ」のきっかけです。「そらぷちキッズキャンプを創る会」の 会長を務めていた横山清七医師(元 東海大学医学部小児外科教授)が亡くなってしまい、僕が代表として跡を継ぐことになりました。

 

みんな、子どもだった

 キャンプに来た子どもたちが、2 泊3日とか3泊4日を子ども同士で過ごすと、来たときとは顔つきが全然違ってくるんですよ。短い期間で も、自然の中で鳥の声を聞いたりごはんを食べたりしながら一緒に生活すると、人と人との結束が回復するのかな。子どもが少なくなった今 の時代、子どもが子ども同士で遊べるというのはとても貴重なことだと 思います。

 同じ意味で、児童館もそうですよね。児童館に来て大勢の子どもたちと一緒に遊ぶことは、子どもにとって、とても大切なこと。親には、「ほかの子と一緒に遊ばせても らっている」という意識をもっと持ってほしいですね。自分の子どもだけが大切で、おもちゃを取られたり、ちょっと引っかか れただけでワーワー騒ぎ立てる のではなく、僕らを育ててくれ た昔の親みたいに鷹揚に構えて、遠くから見守っていればいいんだよ ね。

 大人のなかには、かつて自分が子どもだったことを完璧に忘れてしまっている人がいます。特に上へ行くこ とばかり考えてきた男の人に多いんだけど……。「そらぷち」のボランティ アさんも、児童館の職員の方もそうですけど、子どもと関わるすべての大人に望みたいのは、「自分が子どものときに何を楽しいと思っていたか、 何をどんなふうに不安に思っていたか」を、時々思い出してほしいということです。大昔からいろいろな人が言っていますけど、「みんな、昔は子どもだった」ということを忘れずに、子どもと関わってほしいですね。


(情報誌「じどうかん」2013冬号より抜粋)

 


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