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識者・応援団からのメッセージ

山口ともさんからのメッセージ

自由な発想で

自分だけの音を鳴らそう

 

山口とも(やまぐち とも)さん

日本廃品打楽器協会会長、打楽器奏者、写真家。

父・山口浩一さん(新日本フィルハーモニー・ティンパニー名誉主 席奏者)の長男として東京に生まれる。つのだ☆ひろのアシスタン トとして音楽界に入り、以後、パーカッショニストとして中山美穂、 今井美樹、平井堅などのツアーやレコーディングに参加。95年の 音楽劇「銀河鉄道の夜」をきっかけに、廃品からオリジナル楽器 を作るように。06年までNHK教育テレビ「ドレミノテレビ」に出演。 〝ともとも〟の愛称で親しまれている。祖父の山口保治さんは「か わいい魚屋さん」「ないしょないしょ」など数々の童謡の作曲家。
http://www.terra.dti.ne.jp/~tomoyama/

発想やイメージを広げ、地球に一つしかない音を

 僕は廃品楽器を使ったパフォーマンスをしています。先日、東京都世田谷区にある児童館で演奏してきました。ある子どもの夢が「僕と一緒に演奏すること」ということで、声をかけてもらいました。

 演奏に使う楽器は、手づくりです。まず、子どもたちには自転車屋さんなどからもらった廃品を使って、自分たちなりに楽器らしきものを作ってもらいました。それを「どうしたいの?」「どうやったら音が出るかな?」と、さらに問いかけながら作り上げていきました。
  集めてもらった自転車の廃品を見て、子どもたちは見た目や形で選んでいる感じがしました。いつも乗っている自転車が、部品だけ見ると、こんな格好してたんだって気づくんですね。「これ格好いいかも」って感じたものをチョイスしてる。それが鳴るか鳴らないかは分かってなくていいんです。それは「いい音するんじゃないかな」って子どもが思って持ってきたものだから、僕も楽器として組んであげたい。「これ、地球に1個しかないんだよ」「君しか持っていないんだよ」「君しか、この音は出せないんだよ」って、まずは、子どもならではの発想を否定せずに褒めていく。楽器作りにマニュアルがあるわけでもないですからね。そうやって一緒に考えていく中で、子どもは新たな発想を生み出していくんです。「こうやったほうが、いい音が出るかな」とか「これは楽器じゃなくてもいいかも」ってね。発想を広げるって大事なことです。

自分だけの楽器には、 「愛着」が生まれる

 僕は昔から収集癖があって、今でも家財道具はみんな拾い物。家にあるものは柱時計から何から、全部拾ってきたものです。一年中、近隣の粗大ゴミとか見て喜んでいる。
 楽器に廃品を使うのは不景気な時代だし、お金をかけないという発想もあります。僕も手間ひまかけて、発想豊かに、廃材やゴミをどう使って楽器を作ろうか考えています。「この程度でいいや」と思って適当に作ったものや雑に作ったものは、それなりの音しか出てきません。いろいろな人のアイデアを盛り込んで、丁寧に作るといい音がします。
 「愛着」という言葉がありますよね。僕はこれって、とても大事なものなのだと考えるのですが、いまの子どもたちって、下手をすると「愛着って何?」なんて言いかねません。ずっと大事にしているものが自分にないと、そのような概念も持てないのだと思います。今はなんでも安く買えるし、みんな持っているものが同じだったりするから、つまらないですよね。「これ、僕しか持ってないんだよ」ってないですもの。せめて、僕と一緒にワークショップで作った楽器は、子どもたちに愛着を持って欲しい。それが僕にとっても、最高に嬉しいことなんです。

本質をすぐに見極める 子どもの感性の素晴らしさ

  世の中は、音が溢れすぎていると感じます。本当に心地いい音、綺麗な音、温かい音が少ない。僕は、普段、あまり音楽を聴かないんです。ちょっと外に出ると音楽の嵐じゃないですか。お店に入ればBGMが流れているし、みんなリズムに刻まれているから、落ち着かなくて。ただでさえ、自分の心拍数でリズムが刻まれているわけでしょう。
 ゲームの音や機械的な音楽が蔓延しているけれども、全部コンピューターでつくった音ですからね。きちんとし過ぎたテンポだから、心地よくない。人間自身が出したリズムや音の方が、人間の体にしっくりくると思いませんか?
 ショーやワークショップをやっていると、子どもの感性に驚かせられます。ショーの時は衣装を着たり、楽器を沢山持っていきますが、チャチなものはすぐ見抜かれちゃうんですよね。逆に「本物」は、ちゃんと感覚でわかってるんです。音だって格好いい音とか、凄いってしっかり感じている。子どもは騙せませんから、本物を作らないとダメなんです。


ともともと一緒に音あそび身近なモノでできる”音あそび”を詳しく紹介した『ともともと一緒に音あそび』(ISBN9784860953607)

(情報誌「じどうかん」2010春号より)

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