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識者・応援団からのメッセージ

ジョニー黒木さんからのメッセージ

「思いやり」のキャッチボールで
心をつなぐ

 

ジョニー黒木(じょにーくろき)さん

黒木知宏。宮崎県出身。延岡学園在校中に甲子園大会出場。社会人野球を経て、1995年に千葉ロッテマリーンズ入団。1年目から小宮山悟、伊良部秀輝らとともにローテーションの一角として活躍。 最多勝、最優秀勝率など数々の栄冠を獲得し、日本代表としてシドニー五輪にも出場。ケガに悩まされながらも、2005年には31年ぶりとなるチーム日本一達成を支える。2007年に現役を引退。現在は野球解説をはじめ、野球のさらなる発展、普及に努める。 http://ameblo.jp/johnny54-kuroki/

「"野球バカ"じゃダメ」石田監督との出会い

 高校時代に出会った野球部監督の石田敏英さんには、「おまえたち、野球部員 だからって“野球バカ”で終わってはダメだぞ。野球ができなくなってからの人生のほ うが、よっぽど長いんだからな」と言われていました。石田監督はチームワークを大切にすることはもちろん、言葉づかいや挨拶 といった、人生の、そして人間としての基本。「野球を通じての人間形成」を第一に掲げていらっしゃいました。
  野球はチームワークが不可欠なスポーツです。凄いエースが一人いたところで、勝てるものではありません。監督から叩き込まれたのは「相手のことを気づかう」ということ。相手が捕球しやすいところへ送 球する。もし送球ミスがあった場合は、何とかカバーして捕球する。「グラウンドは聖地だ。ちゃんと整備しないと、しっぺ返 しがあるぞ」とも、よくおっしゃっていまし た。内心「うるさいなぁ〜」と感じたこと がなかったわけではないですけど(笑)。でも間違いなく、そこで「感謝」の二文字を学び、ボールひとつの有り難さ、ものを大切にする姿勢が養われたことに違いはあ りません。
 

テクニックよりも心 コミュニケーションが大切

 野球は「野」に「球」と書くとおり、ボールがあれば、どこででもできるスポーツです。子どもの頃は、木をバット代わりに、一塁ベースをドラム缶、二塁を電柱、三塁をブロック塀にしようとか、近所のみんなでルールをつくって楽しんだものです。
  最近は、ボールを渡しても、どうしたらいいのか分からず、大人や周りの人にすぐ答えを求めてしまう子どもが多いように思います。野球を通し自分で考えて、自ら行動に移せる力をつけるきっかけを与えたい。それが今取り組んでいる「プレイボール!プロジェクト」です。
  「プレイボール!プロジェクト」では単なる技術指導ではなく、コミュニケーションを図る大切さ、相手を思いやる心を伝えることを目的にしています。このプロジェクトでは、手打ち野球とキャッチボールを中心に進めています。手打ち野球では、当たっても窓ガラスが割れない塩化ビニール製のカラーボールを使っています。ボールをひとつ渡して、対戦相手、ルール、フィールド……すべて自分たちで考えてやらせるんです。最初は戸惑って何もできない子どもが多い。でも、そのなかでリーダーシップを発揮して号令をかけ始める子がいると、周りも見よう見まねで動きはじめる。人が自然に集まっていく。社会の縮図を見ているような意外性や発見があって、 子どもたちから教えられることも多いで すね。
  1時間ほどキャッチボールをするだけで、最初と最後では、子どもたちの心が変わっていくのを感じます。キャッチボールは、ただ“投げて捕る”ものではありません。自分勝手なことをしていたら続かないんです。ボールを受ける人が、どう投げたら捕りやすいかを考えて投げる。相手の送球ミスがあったら、いかにそれをカバーするか。そういった自分なりの工夫が必要になります。その根底にあるのが“思いや り”です。技術よりも心。そこを強調して子どもたちに向き合っています。

一日1回、全力を出そう!

 野球に限らず、すべてにおいて、一生懸命、一日1回全力を出すことを心がけてい ます。その日、その時、全力を出さないと、あとで後悔することになります。やって後悔するのと、やらなくて後悔するのとでは全然違うんです。  
  一日1回全力を出すクセをつけておかないと、肝心なときに最高の力を出し切れません。全力を出し切ったと自分で思えれば、それでOKなんです。
  最近の子どもは「飽きっぽい」ように思 います。楽しいことは続けられるけど、苦しいことからはみんな逃げ出したくなります。今日一日プレイして楽しかった。楽しいから続けよう。続けていれば、いずれチャンスがくるかもしれない。楽しいから上手くなるし、どうすればボールを早く投げられるようになるか、自分自身で考 えるようにもなるんです。「プロ野球選手 になりたい」という子どもには、「野球をやめたら、プロ野球選手になれないよ」と 答えています。やめなければチャンスは来るんです。
  挨拶からはじまるコミュニケーション、自分自身で考えて動ける力……。たとえ野球選手にならなかったとしても、そのなかで人間形成ができていくわけです。自分には何が向いているのか、向いていないの か。それを見極めるためにも続けることが大事です。自分を見極めるためにも、 野球に限らず飽きずに”凝り性”であって ほしいと思います。

 

ジョニー黒木さん本著書『54「もう投げなくていい」からの出発』(KKロングセラーズ)

 


(情報誌「じどうかん」2009秋号より)

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