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識者・応援団からのメッセージ

けん玉との出会いが変えた……伊藤佑介さんからのメッセージ

「好きなこと」が

自分にとって幸せなことになる

 

伊藤佑介(いとう ゆうすけ)さん

7歳でけん玉を始める。通算10度のけん玉全日本大会優勝。 大学卒業後、世界初のプロけん玉師として始動。2005年にはパフォーマンスの全国的な大会である芸王グランプリで優勝に輝いた。もしかめ(玉を大皿と中皿へ交互に乗せる競技)7時間35分55秒のギネス記録保持者。

[受賞歴] 2002 ギネス記録認定/2005 芸王グランプリ関東大会優勝/2005 芸王グランプリ全国大会優勝 2006 第4回日テレART DAIDOGEI 特別賞受賞/2007 豊島園アーティスト祭優勝


けん玉の魅力

 けん玉は江戸時代から日本にあり、技が3万種類もあるんです。シンプルですが可能性があって奥が深いことが魅力です。けん玉はあそびながら集中力や忍耐力ができ、テレビゲームにないリアルな達成感がありますよね。けん玉のポイントは実は膝で、自然にスクワットをすることができますから、お年寄りにも健康道具としてお勧めですね。日本古来のものなので、子どもはもちろん、広い世代に広められたらいいなと思います。

けん玉のワークショップってどんな内容ですか

 けん玉ショーをやって、その後子どもたちに教える2時間くらいのワークショップです。児童館や放課後児童クラブでも教えています。単なるあそびで終わらせず、拡張的要素を取り入れていけたらいいなと思います。どうしてもショーは純粋なけん玉の技よりダイナミックなものになりがちです。ショーでのパフォーマンスはけん玉一本だけでは、どうしても表現できない部分があり、ジャグリングなど、いろいろなジャンルを応用しています。いつかけん玉一本だけで高いクオリティーのショーを30分やってみたいですね。実はけん玉そのものも見栄えをよくするために玉を大きくしています。大きい方が安定してやりやすし、木の「カチカチ」という音もしっかり出ます。

子どもたちに指導するときは

 技術面だけでなく、プラスアルファの部分も大切にしたいですね。ただ技ができればいいのではなく、精神も同時に磨くことをテーマとしています。子どもたちにはあいさつや礼儀を身につけた上で、技を習ってほしい。基本的にけん玉は個人個人でするものですが、児童館のようなところであれば、みんなで何か一つの技を練習すれば集団あそびとしても楽しいと思います。
あとは飽きさせないこと。けん玉は、やりようによってはある程度は誰でもできるということをわかってもらいたい。できないとすぐ「つまんない」と飽きてしまう子どもが多いので、まずは大皿ジャンプなど簡単な技から入って、レベルにあわせた技を行うようにしています。常にできるという感覚を楽しんでもらおうと心がけています。

今、アニメの『ヤッターマン』からケンダマジックというプラスチック製のけん玉が発売されています。それはできるという感覚を味わいやすいように、皿の大きさを変えられるんですよ。最終的には木のけん玉で遊んでもらえたら一番うれしいのですが、子どもたちの身近なものになるきっかけになるのはありがたいです。
伊藤さんのけん玉との出会いは?

 今の子どもたちのあそびのように、自分の時代もテレビゲームやカードゲームが多かったんですが、それでも友達や兄と伝承あそびをやる機会がありました。 けん玉は小学生の頃、兄の影響ではじめた頃から好きでしたね。近所に「ひの社会教育センター」があり、その中に日野けん玉道場がありました。先生のまっつぁん(松永義希氏)が灯台という技ができると兄から聞いて「そんな技、実際にできるわけがない!」と興味を持ったんですよ。そんなまっつぁんに教わるのがうれしかった。

伊藤佑介さん
ご両親のサポートは?

 習い事はまったくしていませんでしたが、けん玉は「習いたい!」と思って親に頼んで通わせてもらいました。けん玉に関しては何をするにも応援してくれて、大阪で大会があれば旅費をすべて出してくれました。けん玉は「あそび」なんで、お金払ってまで通わせる親ってあまりいないと思います。これで生活したいと言った時も応援してくれましたから。そういう理解があったからこそ今があります。続ける環境があったんですね。本当に環境に恵まれていました。 勝てなくて悔しくてやめたいと思ったことも一度ありましたが、けん玉を続けているのは松永先生との出会いと家族の応援があったからです。

プロを目指した時

 大学の時は公務員を目指し、広島県の廿日市市役所を受けました。あそこは木材活動が盛んで、けん玉も作られていたんです。その市で働けばけん玉とリンクして何かおもしろい活動ができるかなと思って(笑)。面接でそれを訴えたかったんですけどその前に筆記で落ちちゃって・・・。卒業前にもう一度進路を考えた時に、やっぱり何を考えてもけん玉が外せなかった。それなら中途半端にどこかに就職するよりも、これで食べられることを目指した方が悔いは残らないと思いました。アルバイトしながら東京都のヘブンアーティスト(大道芸人にライセンスを与えて、公共施設でパフォーマンスができるという制度)のライセンスをいただいて大道芸するようになりました。それによって活動の幅が広がり、プロの可能性を考えるきっかけになりました。 昔はけん玉をあそびとは認めたくなくて「競技」だって言っていました。ですから職業にする前の方が、けん玉に対する純粋な気持ちは強かったかもしれませんね。今は職業になったことはしあわせだと思いますけど、もしそうじゃなくてもけん玉に出会えたことで、しあわせな人生を送っていただろうなと思います。

好きなことを持つことが大事

 そうですね。けん玉をすることで、好きなことを探すきっかけになれたらいいなと思っています。何かに打ち込むという姿勢はそれが将来の仕事に役立つということですよね。たとえ好きなものを見つけてもあきらめざるをえない状況になることもあります。でも、いろんな形で続けていけると思うんです。そういうのを伝えていきたいですね。けん玉で培った集中力や忍耐力を他の分野でもいいから活かしてもらえたら嬉しいです。

今後の活動は?

 どんなカタチであれ、けん玉さえ続けていければ自分の幸せです。「どうなりたい」じゃなく「けん玉続けたい」ですから、有名になりたいとかではないんです。けん玉を通していろいろな人とつながるときが一番充実します。自分はこの個のけん玉一つから世界がすごく広がりました。けん玉を持っていれば人生が基本的に充実していますから(笑)。 子どもたちにも早くそういうものに出会ってほしい。イベントでのパフォーマー、子どもたちに教える指導者、両方大事にしていきたい。それがプロけん玉師の仕事だと思っています。

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